「V2Hを付けたら、元は取れるのか」「補助金はまだ使えるのか」。EV・PHEVを持っている人、これから買う人が、V2Hの導入で最初に気になるのはこの2点です。結論から言うと、V2Hは電気代の節約だけで元を取るのが難しい設備で、国の補助金も2026年8月27日に受付が終了しています。この記事では、設置費用の相場、補助金の現状、回収年数の試算を、補助金なしの総額で整理します。

結論:2026年10月15日時点

  • 設置費用の目安は総額60万〜160万円(本体と工事費の合計。住宅の配線状況で大きく変わる)
  • 国の補助金(令和7年度補正)は、2026年8月27日到着分で受付終了。追加公募・次回公募は、公式サイトの新着情報では確認できていない
  • 回収年数は、前提次第で8年から50年超まで開く。電気代の節約だけで元を取れるのは、総額が安く、太陽光などで毎日使い切れる好条件のときに限られる
  • 選ぶ決め手は、経済性よりも停電時に家へ給電できる安心に置くほうが現実的

V2Hの設置費用の相場

V2Hの費用は、V2H本体の価格と、設置工事費に分かれます。

項目目安
本体価格約40万〜160万円(機種・出力で差が大きい)
設置工事費約10万〜30万円
総額(補助金前)約60万〜160万円

本体価格は情報源によって幅が違い、販売価格の総額を99万〜160万円とするものもあります。工事費は、分電盤からV2Hを置く場所までの距離、基礎工事の有無、宅内の配線、契約電力の変更などで変わります。現地調査を含む見積もりを取らないと、総額は分かりません。200Vコンセントの後付け費用(4万〜15万円)との違いは、EVコンセントとV2Hの違いの記事で解説しています。

国の補助金の現状:受付は終了している

受付終了の経緯

令和7年度補正予算のV2H充放電設備・外部給電器の補助金は、予算を超えたため、2026年8月27日(木)中に到着した申請をもって受付が終了しました(次世代自動車振興センターの8月28日付お知らせ)。申請期限の9月30日より、1か月以上前に終わっています。先着順で、予算に達した日以降の申請は無効になる仕組みでした。

終了した制度の中身

公式の交付規程によると、補助の内容は次のとおりでした。

  • V2H充放電設備(本体):購入費の1/2以内、1基あたり上限75万円
  • 設置工事費:定額(1/1以内)で、1基あたり上限55万円(公共施設・災害拠点以外の場合)。定額は工事の内容ごとに、センターが別に定める
  • 個人宅で、本体と工事の両方が上限まで補助されれば、最大130万円

ただし、本体価格の1/2が75万円を超える場合でも補助は75万円まで、工事費は工事内容ごとの定額までなので、費用の全額が出る制度ではありませんでした。また、発注・工事の開始は交付決定日以降であることが条件でした。

今から導入する人は

2026年10月15日時点で、V2Hの追加公募・次回公募は、公式サイトの新着情報では確認できていません。補助金が出る前提で計画を立てるのではなく、補助なしの総額で判断し、公募が出たら公式サイトで条件を確認するのが安全です。国の制度とは別に、自治体がV2Hの補助金を用意している場合もあります。受付期間や予算は自治体ごとに違うため、お住まいの自治体のホームページで確認してください。

回収年数のシミュレーション

回収年数は「設置総額 ÷ 年間のメリット」で考えます。補助金は終了しているため、補助なしの総額で試算します。

試算の前提

年間のメリットは、車に貯めた電気を家で使うことで、電気代をどれだけ減らせるかで決まります。ここでは、毎日10kWhを家で使い、電気の単価差が次の3パターンだったと仮定します。

  • 年3万円:夜間の安い電気で車に貯め、昼や夕方に家で使う(単価差が約8円/kWh)
  • 年6万円:単価差が約16円/kWh(売電単価が低い太陽光の余剰を車に貯め、買電の高い時間帯に使うなど)
  • 年10万円:単価差が約27円/kWh(太陽光の余剰を売電せず、毎日使い切れる好条件)

これは例示の前提で、実際の削減額は、電気料金プラン、太陽光の有無と容量、在宅時間、車の使い方で大きく変わります。

回収年数の早見表(補助なし)

設置総額年3万円年6万円年10万円
80万円約27年約13年約8年
120万円約40年約20年約12年
160万円約53年約27年約16年

機器のメーカー保証は、機種によっては10年と案内されているものもあります。回収に10年以上かかるケースが大半なので、電気代の節約だけで元を取る設備ではないと考えるのが現実的です。

補助金があった場合の参考

終了した制度の仕組みを当てはめると、たとえば本体100万円なら、本体分の補助は1/2の50万円です。工事費の補助が加わればさらに下がりますが、補助は終了しているため、今から導入する場合は上の早見表(補助なし)を前提にしてください。

元が取れるケースと、取れないケース

回収しやすいケース

  • 太陽光発電があり、昼の余剰電力を、毎日のように車に貯めて夜に使える
  • 車を日中も自宅に置く時間が長く、充放電のタイミングを合わせやすい
  • 設置工事が簡単で、総額を低く抑えられる

回収しにくいケース

  • 太陽光がなく、夜間の安い電気を使う差額だけが頼り
  • 車を日中ずっと使うため、家に給電できる時間が短い
  • 分電盤から遠く、工事費が膨らむ

経済性より「停電対策」で選ぶ

V2Hの価値は、電気代の節約だけではありません。停電時に、車のバッテリーを家の非常用電源として使えるのは、200Vコンセントや多くの設備にはない強みです。

たとえば、電池容量40kWhの車で、家が1日に10kWhを使うなら、理論上は約4日分の電気になります(実際は放電の下限設定や変換のロスで短くなります)。災害時の備えとしてどれだけの価値を感じるかが、導入判断の中心になります。

判断の3つの基準

  • 停電時の給電が必要か:必要なら、V2Hが有力。不要なら、200Vコンセントで十分
  • 太陽光を持っているか:持っていて、余剰を毎日活用できるなら、回収年数が短くなる
  • 補助金なしの総額を払えるか:補助が出る前提で考えず、総額と回収年数を見て決める

迷う場合は、まず200Vコンセントを付けておき、V2Hは補助金の公募状況や機種の価格を見ながら後で検討する、という順番も現実的です。新築なら、V2H用の配線スペースを確保しておく選択肢もあります。

まとめ

V2Hの設置費用は総額60万〜160万円で、電気代の節約だけで元を取るには、好条件でも8年以上、多くは12年から20年以上かかります。国の補助金は2026年8月27日に受付が終了しており、次回公募は未発表です。経済性で選ぶ設備ではなく、停電対策と太陽光の活用を含めた価値で選ぶ設備です。補助金が出る前提で急がず、補助なしの総額で判断してください。

よくある質問

Q. V2Hの設置費用はいくらですか?

A. 本体と工事費を合わせて、総額60万〜160万円が目安です。住宅の配線状況で大きく変わるため、現地調査を含む見積もりが必要です。

Q. V2Hの国の補助金は、今から使えますか?

A. 令和7年度補正のV2H補助金は、2026年8月27日に受付が終了しています。次回公募は、2026年10月15日時点で、公式サイトの新着情報では確認できていません。

Q. 以前の補助金は、いくら出ていましたか?

A. 本体は購入費の1/2以内で上限75万円、工事費は定額で上限55万円(個人宅の場合)でした。両方が上限まで出れば最大130万円ですが、費用の全額が出る制度ではありませんでした。

Q. V2Hは何年で元が取れますか?

A. 総額80万〜160万円、年間のメリット3万〜10万円という例示の前提で、約8年から50年超まで開きます。電気代の節約だけで元を取るのは難しく、停電対策の価値を含めて判断するのが現実的です。

Q. V2Hと200Vコンセントのどちらを選ぶべきですか?

A. 停電時に車の電気を家で使いたいならV2H、充電だけできればよいなら200Vコンセントです。費用は最大20倍近く違います。

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