戸建てと違い、マンションの駐車場は「共用部分」です。EV充電設備を入れたくても、個人の判断だけでは工事できません。ただし条件がそろえば導入は可能で、近年は制度面のハードルも下がってきています。ここでは戸建てとは別物の、マンション特有の進め方を整理します。
導入方式は2種類:個別型とシェア型
| 方式 | 個別型 | シェア型 |
|---|---|---|
| 設置場所 | 各区画の駐車スペースに個別設置 | 共用スペースに少数台を設置し共有 |
| 電源の引き方 | 各区画の分電盤から個別に配線 | 建物全体の電源を強化して分配 |
| 利用時の手間 | 自分の区画にそのまま充電、車の移動不要 | 充電のたびに専用スペースへ車を移動 |
| 費用の傾向 | 大規模な共用工事は不要。ただし複数区画に導入すると総額は高くなりやすい | 建物全体の電源強化が必要で初期費用は高くなりがちだが、戸数で費用を分担できる |
「今すぐ自分だけ使いたい」なら個別型、「マンション全体でEV需要に備えたい」ならシェア型、という住み分けが基本です。
管理組合の決議:2024年の改正で条件付き軽量化
EV充電設備は共用部分の工事にあたるため、原則として管理組合の決議が必要です。ただし2024年6月7日、国土交通省は標準管理規約を改正し、工事による加工の程度が小さい場合は「普通決議」(過半数の賛成)で実施できることを明記しました。以前は共用部分の変更として特別決議(3/4以上の賛成)が必要と解釈されるケースが多く、これがEV充電設備導入の大きなハードルになっていました。決議要件は工事内容や管理規約の内容によって変わるため、実際に進める場合は管理会社・専門業者に確認することをおすすめします。
補助金:CEV補助金は個人宅より手厚い
EV・PHV用の充電設備には国のCEV補助金があり、2026年1月登録分からは上限額が引き上げられています。
- BEV(電気自動車):上限130万円(旧90万円)
- PHEV(プラグインハイブリッド):上限85万円(旧60万円)
集合住宅向けの充電インフラは、個人宅の後付け(200Vコンセントなら定額5万円が目安、詳しくはEV充電設備の補助金2026の記事で解説)と比べて補助上限が大きく、共用部の配線工事や充電器本体の費用を大幅に圧縮できる可能性があります。自治体独自の上乗せ補助がある場合もあるため、导入時は最新の公募要領を確認してください。
進め方:個人が動く場合の基本ステップ
- 管理組合・管理会社に相談:まずは理事会にEV充電設備導入の要望を伝える
- 導入方式を検討:個別型かシェア型か、区分所有者の需要を踏まえて方向性を決める
- 見積もり・補助金の確認:充電設備の専業会社(EV充電インフラ事業者等)に見積もりを依頼し、CEV補助金の対象になるか確認
- 総会での決議:工事内容に応じて普通決議または特別決議で承認を得る
- 工事:承認後、電源強化・配線・充電器設置
戸建てのように「自分の判断ですぐ着手」とはいかないため、要望を出してから実際の設置まで数ヶ月単位の時間がかかることも珍しくありません。
まとめ
マンションでもEV充電設備の導入は可能ですが、共用部分の工事である以上、管理組合の合意形成が前提になります。2024年の規約改正で決議要件が緩和されたケースもあり、以前より現実的な選択肢になりつつあります。補助金も個人宅より手厚いため、導入コストの負担感は工夫次第で下げられます。戸建てにお住まいの場合の後付け費用はEV充電用コンセントの後付け費用の記事で解説しています。
よくある質問
Q. マンションでもEV充電設備は設置できますか?
A. 可能です。ただし駐車場は共用部分にあたるため、個人の判断だけでは工事できず、管理組合の決議が必要です。
Q. 個別型とシェア型、どちらがいいですか?
A. 自分だけがすぐ使いたいなら個別型、マンション全体で今後のEV需要に備えたいならシェア型が向いています。シェア型は初期費用が高くなりがちですが、戸数で費用を分担できるメリットがあります。